ここ数年、千葉で起きていることを、コーヒーという切り口から眺めてみると、ある動きが見えてくる。
房総半島に蒸留所を構えたmitosaya、木更津に誕生したKurkku Fields。東京でカルチャーを牽引してきた作り手たちが、あえて千葉を選んでいる。理由は似ている。東京ほど商業的でなくてもビジネスが成立する土地のコスト、豊かな自然と素材、それでいて東京からのアクセスの良さ。この条件が揃う場所は、国内でそう多くない。
コーヒーもまた、その文脈の中にある。
東京から距離を置いた、作り手たちの選択
スペシャリティコーヒーという言葉が一般に知られるようになって久しいが、その本来の意味は「農園から一杯まで、品質を追跡できるコーヒー」にある。生産者の顔が見える豆を、丁寧に焙煎し、正直に届ける。そのプロセスに誠実であろうとすると、自然と「派手さ」から遠ざかっていく。
千葉のロースターたちに共通するのも、その静かな誠実さだ。大通りに面した目立つ立地より、少し分かりにくい場所を選ぶ。SNSのフォロワー数より、常連客との関係を大切にする。千葉という土地の持つ、程よい「東京からの距離感」が、そういう作り手を引き寄せているのかもしれない。
千葉で出会えるロースターたち
千葉には、それぞれに哲学を持つロースターが点在している。ここでは現在このメディアが把握しているロースターを紹介する。随時更新していく。
mane nakano(豆NAKANO)|千葉市中央区
千葉駅北口すぐのロースタリーカフェ。焙煎の様子を間近で見られる空間で、豆の個性を引き出すことに集中した一杯が飲める。
エウレカコーヒーロースターズ|千葉市稲毛区
「発見した」を意味する店名の通り、出会いと発見をコンセプトに掲げる。世界各地の農園からダイレクトトレードで仕入れた豆を常時10種類以上そろえ、通販にも対応する。
SEVEN STEPS COFFEE CLUB|千葉市稲毛区
オランダ製ギーセン焙煎機を使用した浅煎り中心のロースタリー&カフェ。「クラブ」という言葉に込められたコーヒーを媒介にしたコミュニティへの意識が、空間全体に滲む。
ease coffee|柏市高柳
「Blend your life」をコンセプトに、暮らしの中に自然と溶け込むコーヒーを提案する。住宅街の中にひっそりと構えるロースタリーカフェ。
DECO Specialty Coffee Roaster|東金市
Qグレーダー(SCAA認定国際資格)を持つ店主が、浅煎り〜中煎り専用と深煎り専用の焙煎機を使い分ける。花のような風味、フルーツ感のある酸味、チョコレートのような甘み——豆のポテンシャルを最大限に引き出すことへの真摯な姿勢がある。
萌季屋(moegiya coffee)|千葉県
創業20年を超えるスペシャリティコーヒー専門ロースター。産地訪問を重ね、コーヒーが生まれる自然環境や生産者の情熱を自分の目で確かめることを大切にしている。
THE COFFEE|木更津市
シングルオリジンコーヒーの草分けNOZY COFFEEで経験を積んだバリスタが、木更津に構えた店。「コーヒーの本質を伝え続ける」という姿勢が、Kurkku Fieldsが象徴する木更津の新しいカルチャーと自然に重なる。
The Rising Sun Coffee|九十九里・大網
俳優の坂口憲二がコーヒー焙煎士として焙煎を手がけるブランド。九十九里の太平洋からの日の出にちなんだ店名が、千葉の風土との接続を示している。
ルマーズコーヒー(RUMOR’S COFFEE)|千葉市緑区おゆみ野
完全熱風式焙煎機でじっくり丁寧に焙煎。世界各地の農園から品質の高い豆を仕入れ、香りをしっかり感じられるコーヒーを届ける。
このメディアでは、千葉全域のロースター・カフェを継続的に取り上げていく。
エリア別に探す
千葉は広い。東西に長く、それぞれのエリアに異なる風景と文化がある。
千葉市・西千葉エリアは、都市型のロースターが集まる。駅近の立地でアクセスしやすく、通勤・通学の途中に立ち寄れる店も多い。
木更津・君津エリアは、東京湾アクアラインで都心と繋がりながら、Kurkku Fieldsをはじめとする新しい文化の発信地になりつつある。コーヒーとも親和性の高い、ゆったりした時間が流れる。
いすみ・大多喜エリアは、mitosayaが象徴するように、東京から移住してきたクリエイターや作り手が増えている。外房の自然の中で、自分のペースで営むロースターに出会える。
南房総・館山エリアは、まだコーヒーシーンとしては発展途上だが、その分、先に掘り起こした者が語り手になれる余白がある。
自宅で飲む、千葉のコーヒー
足を運べない日も、千葉のコーヒーは届く。
多くのロースターが自社ECで通販に対応しており、焙煎したての豆を自宅で受け取ることができる。定期購買に対応しているロースターも増えており、毎月違う豆が届く楽しみ方も選べる。
このメディアでは、各ロースターの通販情報も随時更新している。千葉のコーヒーを、まず一袋試してみてほしい。
このメディアは、千葉のコーヒーシーンを網羅的に「まとめる」ことより、その面白さを「伝える」ことを目的としている。
知らなかった一杯と出会う体験を、届けたい。